昨年末から続く、コニャックリリースも今回が最後です!
今までのコニャックは以前の記事をご覧ください。
最後は、Distillerie du Peyrat(ディスティレリー・デュ・ペイラ)という、またしても小さな作り手さん。
この作り手との出会いは、友達からの紹介です。
ヴォアザン方式?ディスティラシオン・グラス?脂肪蒸留?なるもので蒸留しているところがあるよ、と紹介されました。
何よりもとてもいい人達だから是非会って欲しいと。
それでコニャックメゾンにお邪魔したのを覚えています。
確か初めから一人でお邪魔した記憶。
今回は全商品輸入&全商品リリースなので、それぞれの詳細と共に、ヴォアザン方式による蒸留のお話もさせてもらいます。
メゾンの歴史を簡単に
蒸留所の名前にもなったペイラとはコニャックとジャルナックの間に位置する小さな集落の名前です。
蒸留所のブドウ畑は周囲の丘に広がっていて、Charente(シャラント)川の支流であるLe Tourtrat(トゥールトラ)川に沿っています。
1708年に生まれた先祖のAntoine Gautronneau(アントワーヌ・ゴトロノー)はラ・ロシェル近郊でブランデーの蒸留業者を行っていました。
ラ・ロシェルは大西洋沿岸の大きな街ですが、今現在メゾンが位置する場所とは異なります。
現在の蒸留所の歴史は1920年Alcide Brisson(アルシド・ブリッソン)と息子のPaul(ポール)によって本格的に始まりました。
ポールとアルシドはブドウ畑を発展させ、墨と木炭で蒸留する2つの小さな蒸留器を購入し、この場所での最初のブランデーを生産します。
後を継いだJacqueline(ジャックリーヌ)とAndré Rault(アンドレ・ロール)は現代多岐な蒸留所の基礎を作り、ネゴシアンと蒸留所の活動を活発にしました。
アンドレは1950年の初めに義父のPaul Brisson(ポール・ブリッソン)からブドウ畑を引き継ぎ、現在も使用されている25ヘクトリットルの蒸留器を始めて設置します。
蒸留の量が徐々に増加し、1990年には1日当たり300ヘクトリットルものコニャックを蒸留するまでになりました。
同時にアンドレとその息子Jean-François(ジャン=フランソワ)によって8基目と9基目の蒸留器が設置されました。
1980年代後半に現在も働く、Sonia(ソニア)とJean-François Rault(ジャン=フランソワ・ロール)がこのドメーヌと醸造所の経営を引き継いだころ、コニャック市場の見通しが悪いタイミングでした。
そうした状況を受け、経営を多角化するために「ディスティレリー・デュ・ペイラ」として自身のブランドを造り出し、自社でのコニャック販売をすることにしました。
ジャン=フランソワは1998年にオーガニック栽培への転換を決意し、ブドウ畑全体をオーガニック栽培で栽培することとしました。
これはこの地域では先駆者となる出来事でした。
現在でも100%オーガニックとしてコニャックを生産しています。
ヴォアザン方式の蒸溜
このメゾンのコニャックを表現すると丸みと豊かな香りのアクセント、さらにオイリーさです。
このディスティレリー・デュ・ペイラでは「脂肪蒸留」という蒸留を行っています。
この蒸留を行うことで出来るコニャックの特徴が大きく変わります。
蒸留液に含まれる芳香エステルなどの広範な要素を保持するため、ヘッド(テット)の量を制限し、セカンド(クール)の割合を増やして製品の中に取り込みます。
つまり、採用するオー・ド・ヴィの量を増やすと言う方式です。
ヴォアザン方式はMéthode Voisinとフランス語で表記され、私は最初Voisin(隣人)がかかわっているのかと思いましたが、Voisin(ヴォワザン)氏によって造り出された蒸留とのこと。
この方法は品質の良いワインでのみ行うことができるので、ワインの品質には特別の注意を払っています。
この脂肪蒸留はコニャックに丸みとオーク樽での熟成時のポテンシャルをあげてくれます。
オーガニック・セレクション
VSと同等の熟成年数を持つOrganic Selection。
フランス語表記だとSélection Biologique(セレクション・ビオロジック)ですが、中身は同じです。
プティット・シャンパーニュ、ファン・ボワ、ボン・ボワのブレンドコニャックで、ヴォアザン方式で作られたコニャック。
ヴォアザン方式のコニャックは品質管理にかける手間が通常の蒸溜よりも多いので、自社用コニャックにのみ使用されています。
力強さもありながら、果実の凝縮も感じられる、コニャックらしいコニャック。
ディスティレリー・デュ・ペイラらしいふくよかさも感じられます。
若いですが、攻撃的でないアルコール感はヴォアザン方式×オーガニックがなせる業。
是非カクテルで楽しんで欲しいコニャックです。
VSOP
VSOPは4年以上の熟成を経たコニャックが入っています。
平均熟成年数は7年程度。
さらに古いコニャックを熟成していた樽を使用することで、若いながらも深みのあるコニャックです。
同様にヴォアザン方式でオーガニックのコニャック。
バニラやシナモンなどの柔らかいスパイス香が特徴的です。
ふくよかで落ち着きながらも、まだまだ若さが感じられます。
ショートカクテルで飲むのがオススメのコニャック。
ソルスティス・XO
最低10年熟成のコニャック。
若さも感じられるものの、良いコニャックに感じられる赤い果実を感じられるのが嬉しい。
バニラビーンズが沢山入った、果実が残った美味しいイチゴジャム。
そんな印象を強く感じられました。
10年の熟成を経ることで深みが増し、少しランシオ香も感じられます。
ストレートで飲んでも良いですが、大きな氷と共にロックスタイルで飲むのもおすすめです。
XO old
最低熟成年数が12年のXOです。
このコニャックはソルスティスよりも深みと広がりを感じられます。
平均年数2年の差がしっかり感じられて面白い。
四角いカラフェでの提供です。
柔らかなスパイス香や、果実の凝縮、ランシオ香やパティスリー香など様々な香りを感じることのできるコニャック。
コニャック好きには楽しんでもらえるのではないでしょうか。
もちろんオーガニックでヴォアザン方式で蒸留されたコニャックです。